新年早々、入居者から一通のメールが届きました。
「水道が凍結してしまいました」との通報です。
んー、おかしい・・・。
この物件(一戸建て貸家)は高気密・高断熱設計で24時間暖房システムを導入。
厳冬の北海道でもとっても暖かい家です。
普通に暮らしていれば水道が凍結するはずがないのです。
入居者になにかあったのでしょうか。
気になって翌日、現地を訪れてみました。
驚いたことに玄関にうず高く雪が積み上がっています。
長期間、不在にしていたようです。
ポストを覗くと郵便物がぎっしり。
ちらっと覗くと10月のチラシが入っています。
(※いまは正月)
仕方ない。
久しぶりのラッセルです。
雪をかき分けること1時間で、なんとか玄関に到着。
ピンポンを押します。
しかし、返事がありません。
ピンポンが鳴らないのです。
おかしい。
ドアホン故障か?
いや、何か変だ。
耳を澄ませると、中で火災警報器が鳴っています。
こりゃ大変だ!
ドアノブを引いてみると、あらなんと!
扉が開きました。
鍵がかかっていません。
おいおい、どうなっているんだ!
なぜかドアに水滴がびっしりついています。
「火事」というより水臭い。
玄関が水浸しです。
「○○さーん!」(入居者の名前)
何度呼びかけても返事なし。
こりゃ誰もいないな・・・。
入居者の携帯に電話を掛けます。
しかし、呼び出し音が鳴るだけ。
一向に出る様子がありません。
火災報知器が鳴りっぱなしなので、仕方なく入室。
うわっ!
冷たい!
玄関マットがびしょ濡れです。
それどころか天井から水がポタポタ落ちてきています。
下駄箱の入居者さんの靴もすべて水浸しになっています。
ひどい水浸し住宅です。
電気も切れていて点きません。
部屋の天井から水が落ちてきていて、ドアの木枠に水滴が付いているのがお分かりでしょうか
漏電の心配もあります。
ひと気もないし、なんかおそろしい。
まるで寂れた競売物件のようです。
恐る恐る各部屋を点検します。
部屋という部屋がすべて水浸しです。
建物内の配管が複数箇所にわたり破裂しているようです。
二階の部屋は床上数センチ。
一階の部屋は床も壁も天井もすべて水をかぶっています。
入居者の家財一式も全滅です。
ベッドもソファも凍っています。
これは大変な事態です。
地下に潜ると基礎一帯が水没していました。
この家はもうだめですね。
いったいどれだけの水をかぶったのでしょうか。
おそらく入居者は数日間は家を空けていたのでしょう。
電気は滞納で止められていたよう。
これでは24時間暖房が使えないはず。
建物内の水道配管が二階部分で破裂して、家ぜんぶに水が回ってしまったようです。
すぐ気づいて元栓を止めてくれればよかったのですが、、、。
水が漏れるに任せたまま数日間。
水道局によると「20立米は漏れたのではないか」とのことでした。
その後、正月休み中の工務店さんを拝み倒して、現場検証してもらいました。
住宅設備も内装も全てダメ。
復旧工事というレベルではなく、内装を全部剥がしてやり直すしか無い。
構造体まで水をかぶっているので、凍結でヒビが入り、建物の安全性にも疑問があるとの判断。
この家はもう住めるような状態ではありません。
この住宅は建材をカナダから輸入して建てられたログハウスです。
新築時に数千万円を掛けた住宅なのに、貸家としての資産価値は完全に失われてしまいました。
それにしても入居者は家を放り出してどこに行ってしまったのだろうか?
家賃は毎月ちゃんと入ってきています。
しかし、近隣の方に伺うと「家には普段誰もいない」のとのこと。
家が水浸しになっても困っている様子がない。
となると、入居者さんはどこか彼女の家にでも潜り込んでいるのでしょうか。
さて、この住宅は当社が法人設立してから最初に購入した物件です。
銀行担保に入れて今も資金を借りています。
これは困った事態です。
しかし、もはや住めない家では売るにも売れません。
なぜなら、水没住宅の建物価値はゼロで、むしろ解体費分をマイナス評価するからです。
いやまいりました。
どうしたものでしょうか。